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2013.03.20

シャンパーニュでお別れ/「フレンチの侍」を読んで

Photo■アップできてなかったのですが、ちょっと前の話。
今月、恩師のお別れの会がありました。ワイン勉学の最大の恩師、故・小林史高先生を偲ぶ会。
喪主である弟さんから連絡をいただいた際は、大きなショックで悲しかったけど、まだなんだか遠いところで遠い話をしている感じでした。
でも実際にお別れの会に出て、小林先生のお写真を見て焼香したらしみじみと、悲しみが胸に迫って涙が出てきました・・・。ああもう、先生本当にこの世にいないんだと。

■焼香をした後、お浄めで訪問者は順次、シャンパーニュがたくさん用意された部屋に通されました。
そう、小林先生はワインでも、シャンパーニュが特にご専門だったのです。
聞けば小林先生のワインコレクションから出されたものだそう。部屋中に立ち込めるシャンパーニュの高貴な香り。
グラスを受け取って献杯すると、やっぱり美味しくて。
泡のワインはふつう、飲むと気持ちが華やぎます。献杯なのでもちろん楽しい気持ちにはならないけど、その華やかさで気持ちがちょっと癒えるというか、「泣いてないでワインの勉強もっと頑張らなきゃ」という前向きな気持ちが沸いてきました。

Photo_2■ビールやお寿司の伝統的なお浄めももちろん悪くはないけれど、このなんともおしゃれな、高貴なお別れの小道具。深く感動したのです。
献杯は、小林先生がシャンパーニュ地方を訪問されたビデオ映像を見ながら飲みました。その下に、先生の遺影とグラスも。これは先生が一番お好きだった銘柄。「ブルーノ・パイヤール」。フレンチの巨匠ジョエル・ロブションもお気に入りのシャンパーニュです。
小林先生、天国でどうぞ安らかにお休みください。本当にいろいろありがとうございました。

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■気を取り直して。
最近、読んですごーく面白かった本。『フレンチの侍』(朝日新聞出版)。
「銀座シェ・トモ」の有名シェフ、市川知志さんの料理人としての人生史です。
料理に目覚め、1980年代、日本の高度成長期に料理修行のため渡仏。
フランス語に苦労し、人種差別を受けたり、逆に人生の恩師に出会えたり、さまざまな苦楽を経験して帰国、現在のオーナーシェフに至るまでのことが本当にドラマチックに綴ってあります。

■料理や食べることが好きな人は、誰が読んでも楽しめると思う。
そして読んでいるうちに元気が湧いてきます。
それと、市川さんは年齢的に私よりずっと上ですが、私も父親の仕事で80年代にちょうど海外に住んでいて(フランスではなくオーストラリアですが)、あの当時の外国人の日本人に対する意識の遠さ、理解の低さ、実感としてわかるのです。
この市川さんの本にあるように、「フランス人は日本人がまだ全員ちゃぶ台で飯を食っていると思っている」ような感覚、確かにありました。1980年代後半、彼らは日本車に乗っているというのに!

■私は前にこのブログで、TBSの昔のドラマ「天皇の料理番」のことを書きましたが(ブログ記事)、このドラマで描かれている大正時代、戦前にフランスに料理修行したときに主人公が受けた苦労と、1980年代の市川さんの苦労があまり変わっていないことにも驚き。
でも世界で、孤軍奮闘している日本人の姿は、いつでも感動します。
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